2019年10月31日木曜日

ふんどしを締めると真実が見えるのか?第5章「接触」その8

始めに

「ふんどしを締めると真実が見えるのか?」:ヒロイン、「負の遺産」から、「正の遺産」へ……

【ご注意】

  • この小説はフィクションです(以下略)
  • この小説の内容は、特定の思想、信条を肯定したり否定したりするものではありません。
  • この小説は「責任ある大人」が読むことを前提としています。そのため、あえて「不快」「不適切」と思われる表記を用いることをご容赦ください。

前回までのあらすじ

平凡だが不自由しない生活をおくっていたヒロインは、ある日親の都合で住人が六尺ふんどしを常用し、「農業」で生計を立てるという田舎に引っ越す。

かつてこの田舎で過ごした経験のあるヒロインは、いとこだと言う男に、ある誘いを受ける……

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第5章「接触」その8

私はいとこだと言う男に、電気自動車に乗せてもらうことになった。
しかも、道路がろくに整備されていない山の中で……

結「あのう……」
いさく「何だ?」
結「ここって……トイレ……あるの?」
いさく「ああ……そこを右に曲がってすぐだ。……女はトイレが近いから嫌だ」
結「……どうも」

トイレを済ますと、男が電気自動車の運転席に乗って待っている。
電気自動車の前のシャッターが開けてあり、目の前にはとりあえず自動車が通れるように整備されたような道がある。
いさく「お前はこういうドライブは初めてか?」
結「私はドライブどころか、デートの経験がないの!」
いさく「ふふふ……妙なところで似るもんだ」
結「何が?」
いさく「俺もデートの経験がない」
結「ふうん……」
いさく「ちなみに……ここを逃げ出すなら今のうちだぞ。この電気自動車は、一回の充電でかな長い距離を走れるからな」
結「そうなんだ……」
私はささっと聞き流した。万が一のことでもなければ、ここに骨をうずめるつもりだからだ。
いさく「行くぞ。しっかりつかまっていろ」

とりあえず自動車が通れるように整備されたような道を電気自動車が走る。
ただ、道はいわゆる砂利道で、電気自動車の乗り心地がすこぶる悪い。
結「うっ!うわっ!うわわわ!あっ!あっ!あっ!」
いさく「もっと静かに乗れないのか?」
結「この道は……あっ!あっ!来る!」
いさく「どうした?またトイレか?」
結「この道はどうも……あっ!あっ!あっ!」
いさく「この道は車が走るように作られていないから、どうにもならん!」

結「う~~~~」 乗り心地の悪さと、特に縦みつからの再三の刺激で、私は電気自動車のシートですっかり伸びてしまっている。
そんなさなか、無粋な一言でふと我に返った。
いさく「顔が青いな。手に持っているものを被ってみたら体面が保てるんじゃないか?」
結「うるさい」
いさく「ところで、この道をどうやって作ったか、わかるか?」
結「しらない」
男は電気自動車を止めると、電気自動車の右側を指した。
いさく「お前には、これが自然にできたがけに見えるか?」
結「ええと……これは?」
いさく「ふふっ。実は、このがけは山を切り崩して作ったがけさ」
結「がけ?切り崩して!?」
電気自動車の右側のがけは、まるで重機で切り崩したようながけだ。
いさく「そうさ……重機が持ち込めないこの山の中に、人の手だけでいくつも切り通しを作ったのさ。……これは、さっき話した『正の遺産』の一部さ」
結「すごい……」
いさく「同じようにして、田畑も作った……もう少しで、その田畑が見られるぞ。いい加減、俺の顔も見飽きただろう?」
結「う……ぷす!」
いろいろな感情を込めて、はいともいいえとも解釈出来ない返事をした。

しばらく電気自動車に乗っていると、見晴らしのいいところに到達する。
そして、乗り心地の悪いのにも慣れてきた。
いさく「さて、そろそろ引き返すぞ。早く戻らないと、夕方になっちまう」
結「え、ええ!?もうそんな時間!?」
いさく「この期に及んで『時間』なんて言うのか」
結「時間……江戸時代だって、時間って言ったでしょうに!」
いさく「見てみろ……きれいな田園風景だろ?」
結「ほわあ……」
目の前に広がる田畑で、日々の糧が作られる……
そうだ。私はこの田畑を求めて、この集落にやって来たのだ……
結「桃源郷だ……」
いさく「桃源郷か。お前は農業をしたかったそうだからな」
結「……悪い?」
いさく「帰るぞ、続きの話は帰り道でも出来るだろう」

2019年10月20日日曜日

ふんどしを締めると真実が見えるのか?第5章「接触」その7

始めに

「ふんどしを締めると真実が見えるのか?」:ヒロイン、秘密の施設に……

【ご注意】

  • この小説はフィクションです(以下略)
  • この小説の内容は、特定の思想、信条を肯定したり否定したりするものではありません。
  • この小説は「責任ある大人」が読むことを前提としています。そのため、あえて「不快」「不適切」と思われる表記を用いることをご容赦ください。

前回までのあらすじ

平凡だが不自由しない生活をおくっていたヒロインは、ある日親の都合で住人が六尺ふんどしを常用し、「農業」で生計を立てるという田舎に引っ越す。

かつてこの田舎で過ごした経験のあるヒロインは、謎めいた施設を目の当たりにして……

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第5章「接触」その7

私は「タウ機関」と言う、かつて稼動していた発電施設に案内された。
その帰り道……
結「ねえ……」
いさく「何だ」
結「これから、なんて呼んだらいい?」
いさく「そういう相談は後でいくらでも出来るだろう?」
結「うーん……」

洞窟を通ってドーム型の建物の中まで戻ってきた。
雨合羽は……さすがに蒸し暑いのには耐えられなかったので、酸素マスクの看板のところで酸素マスクと一緒に脱ぎ、小脇に抱えている。
酸素マスクを洞窟の入り口の前の設備に戻し、建物の入り口まで行くと……
結「まだ降っているじゃん……」
雨が止むまでの暇つぶしと言うことで「タウ機関」を見せてもらったが、あいにくまだ雨が降っている……
いさく「そういうことか……『タウ機関』を詳しく説明するだけの時間はありそうだ。聞くか?」
結「うーん」
しばらく考えて、私はこう答えた。
結「もしかしたら……私は知る『義務』があるかもしれない……」
いさく「……わかった」

男が「タウ機関」について話し始める……
このタウ機関は、第二次世界大戦中に一部の科学者が極秘裏に開発した発電施設だった。
燃料を使わずに発電が出来るという、まさに夢の、夢の発電設備になるはず……だった。
しかし戦争が激化し、予算が工面できなくなると発電施設としては廃棄され、「ボイラー」の部分だけが残されて細々と保守をされてきたと言うのだ……
しかし、戦後しばらくして状況が一変する……
いさく「戦後しばらく日本がアメリカの占領下にあったことは知っているな」
結「高校で日本史を習うとそこまで行かずに終わっちゃうのよね」
いさく「それは余計なことだが……」
結「それで?」
いさく「戦中から戦後にかけて、食い扶持のない科学者をこっそり拉致して『ボイラー』を保守し続けたわけだが……一部の科学者が『日本が主権を回復しない』ことに業を煮やして蜂起した。おれたちのひい爺さん、ひい婆さんの時代だ」
結「第二次世界大戦って、そんな昔なのね……」
いさく「で、運良くか悪くか、『タウ機関』がど田舎に設置されていることもあって、山を切り開き、農地を作って、アメリカの支配に抵抗するためにこの山奥に引きこもったってことさ」

男はさらに話を続ける……
いさく「お袋から『日本人らしい生活を追い求めるためにこの集落は存在する』と言う話を聞いただろう?」
結「あ……はい」
いさく「それは『アメリカの支配に抵抗する』と言う意味もあるが、何よりこの山奥は物資が豊富じゃない。農業中心の生活を追い求めていったら、『日本人らしい』生活に帰結していったわけだ」
結「で……ふんどしは?」
いさく「ここはあちこちから科学者を集めて来たわけだが、さまざまな政治思想を持つものが集まったんで集落内で分裂する恐れがあった。それを分裂しないように縛り付けるのが、ふんどしと言うわけだ。俺と……お前の爺さんの代に決まった」
私のおじいさんがふんどしを……思わず私はお尻をきゅっと締めた。
結「私の一族が、みなふんどしにかかわっていたなんて……」
いさく「雨が……上がったな」

いさく「お前、免許持っているか?」
結「え……秘密!」
秘密どころか、免許の類は持ってこれないので処分してしまった。
いさく「構わない。いい物を見せてやる」

私は男に、また別の設備に案内される。
結「電気自動車!?」
いさく「とりあえず申し訳程度に電気が使えるのを知っているだろう?そこでこいつを充電しているのさ。」
結「電気自動車か……」
目の前にはコードに繋がれた車がある。
ただ、その車に言いようのない違和感を覚えた。
その車が、私自身も見たことがないうえに、新品同然だと言うことだ。
なぜここにあるのだろう?と聞こうと思ったが、やめた。まだ、私の運命はこの男の手の中にあるのだ……

いさく「充電はできたようだな……」
結「どういうこと?」
いさく「とりあえず乗れよ。いいところに連れてってやる」
結「なに?また、変なところ?」
いさく「さっきは『負の遺産』を見せたから、今度は『正の遺産』さ」
「正の遺産」……か。とりあえず、二つ返事で連れてってもらうことにする……

2019年10月13日日曜日

ふんどしを締めると真実が見えるのか?第5章「接触」その6

始めに

「ふんどしを締めると真実が見えるのか?」:ヒロイン、謎めいた建物の中を案内される……

【ご注意】

  • この小説はフィクションです(以下略)
  • この小説の内容は、特定の思想、信条を肯定したり否定したりするものではありません。
  • この小説は「責任ある大人」が読むことを前提としています。そのため、あえて「不快」「不適切」と思われる表記を用いることをご容赦ください。

前回までのあらすじ

平凡だが不自由しない生活をおくっていたヒロインは、ある日親の都合で住人が六尺ふんどしを常用し、「農業」で生計を立てるという田舎に引っ越す。

かつてこの田舎で過ごした経験のあるヒロインは、雨宿りのために立ち寄った建物の中に……

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第5章「接触」その6

私はドーム型の建物の奥まで案内されると、集落に似つかわしくない設備の前に案内される。
そして、例の男が設備から袋を取り出して……
いさく「お前……これが何かわかるか?」
結「ほえ……酸素マスク?」
いさく「そうだ……。とりあえず小一時間くらいは持つようになっている。……見ず知らずの人間に使わせたくないが……一応、お前とは血が繋がっているわけだからな……」
結「あー、はいはい」
いさく「それから、酸素マスクが必要なところに着たら、その前に看板がある。そこまでは、とりあえずマスクを首にかけておけ。くれぐれも、酸素を無駄遣いするな」
結「ん、了解」
男は酸素マスクを首からかけ、私は……雨合羽の中でそそくさと酸素マスクを首にかけた。
いさく「では、行くぞ」

設備から少し歩くと、鉄製のドアの前に案内される。
結「ここから入るのね……」
いさく「勘のいいやつはいけ好かないな」
結「あー、はいはい」
いさく「とにかく、行くぞ」
そう言うと、例の男がドアをギギギギ……と開ける。
-弱弱しい割に、腕力があるのね……
そう、言おうと思ったが、やめた。とりあえず私の運命はこの男の手の中にあるのだ。
いさく「さあ、来い」

ドアの奥は洞窟になっている。
そして、その洞窟をどんどん進んでいく……

しばらくすると、今までにかいだ経験のない刺激臭がしてくる……
結「ねえ……」
いさく「無駄口を叩くと命取りになるぞ。……あれが、さっき言っていた看板だ」
結「ねえ?」
男が指した方向に、黄色地で黒の絵と注意書きが書かれた看板が立てられている。
絵はどくろの絵、注意書きは「WEAR OXYGEN MASK!!」となっている。
いさく「しばらくは……俺とお前は同じ空気を吸わなくて済むだろう」
結「とりあえず冗談は言うのね」
いさく「俺とお前の命がかかっている。誰であろうと、人一人死なせたら俺は罰を受ける。ちなみに、過去に本当に人が死んでいるからな!」
結「……わかった」
私と男は酸素マスクを着け、先へ進む……

さらに洞窟を進むと、下り坂になっている。
そして、心なしか蒸し暑くなってくる……
結「暑い……」
いさく「……さすがにその暑苦しいものを脱ぎたくなったか」
結「さあね」
いさく「……無駄口は慎め、急ぐぞ」

さらに進むと……ぼんやりと明るくなってくる……
それに、ものすごく蒸し暑い。
そして、急に目の前が開けた……
そして、火山の火口のような地形が目に飛び込んでくる……
男が口を開く。
いさく「長居は無用なので、必要なことだけ説明する……看板を見てくれ」
結「エックス?」
男が指を指した先には看板があり、少し傾いたような「X」に「generator」と書いてある。
いさく「『エックス』に見えるのはフェニキア文字の『タウ』。『タウ機関』だ。」
結「タウ……この、光っているのは?」
火口のような地形の周りには柵が巡らされ、中には何かが七色に光っている。
いさく「この光っているのが『タウ触媒』と言う特殊な物質で、勝手に発熱、膨張し、冷やすと縮小する」
結「へー」
いさく「ちなみに、触媒の中には多数の水の管が通されていて、熱せられる。一種のボイラーだ。そして……」
さらに男が、カタツムリの化け物のような機械を紹介する……
いさく「そこにあるのが発電機だ。昔は『タウ機関』で発生させた蒸気で発電していたが、今は動かねえ」
結「蒸し暑いと感じたのは、これのせいね……」
いさく「もうそろそろ帰るぞ。また後で詳しく説明する」
結「アッハイ」
私たちは、急いで「タウ機関」を後にする……